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「春夜、JOPPARIに宴するの序」

昨晩は店全体にやさしくてあったかい春の雰囲気が漂っていたように感じます。

すてきなお客様方の笑顔と、おいしくてどこかなつかしいような料理の香り。

厨房が少しだけのぞけるカウンターで料理をお待ちいただいていたお客様と、ハンバーグをつくるマスターの背中を見ていると、なんだか「今日のごはん何?」と料理をつくるお母さんの背中から顔を出して、鍋をのぞいていたことを思い出しました。

こんな春の夜にぴったりな、李白の詩を紹介します。

高校時代の古文の授業に習って、これだけはそらでいえるくらい大好きな詩です。

「春夜、桃李の園に宴するの序」

               李白

それ 天地は万物の逆旅にして、

光陰は百代の過客なり。

しかして浮生は夢の若し、歓びを為すこと幾何ぞ。

古人は燭をとりて夜遊ぶ、まことにゆえ有るなり。

いわんや陽春の我を召くに煙景を以てし、

大塊の我に假すに文章を以てするをや。

桃花の芳園に会し、天倫の楽事を序す。

群季は俊秀にして、皆な惠連たり、

吾人は詠歌すれど、獨り康楽に慚ず。

幽賞いまだ已まず、高談うたた清し。

瓊筵(けいえん)を開きて以て花に坐し、

羽觴を飛ばして月に酔ふ。

佳詠有らずんば、何ぞ雅懐を伸べんや。

もし詩成らずんば、罰は金谷の酒斗の数に依らん。

《口語訳》 

さて、この世ははすべてのものが通り過ぎる宿屋であり、月日は永遠に留まることない旅人である。

そしてこの人生ははかない夢のようなもので、楽しいことをするといっても、どれほどのものだろう? 

昔の人は、蝋燭をつけて夜まで遊んだというけれど、それはまことに道理にかなったこと。

まして、暖かな春は、霞みのかかる景色で私を誘い、造化は私にそれを文章で描かせようとするのだからなおさらのこと。

そこで、今日桃の花の咲く心地よい庭に集い、兄弟が揃って開く楽しい宴会について書く。

ここに集う多くの弟たちはみな優秀で、有名な詩人の恵連のよう、兄の私は詩を作っても恥ずかしくて詩人の康楽には及ばないけれど。

静かにほめ味わう言葉は止まらないし、議論もどんどん高まっていく。

美しい敷物を桃李の花咲く園に広げ座って、羽の飾りのついた杯を交わしては月に酔う。

こんな中でよい詩が出来なければ、どうやってこの心地よさを伝えることができるだろうか。

もし、詩ができなければ、その罰には酒をたくさん飲むということにしよう。

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